Go!Go!お出かけ〜気が向いたら更新

ガーッと広がって、ドーン 〜松本市〜

2004/05/04
 愛知県を北に向かってひた走り、岐阜の路面電車の軌道が見えてくるころ、頭の中で自動車学校の教本を思い出そうと努力する。
路面電車が日常でない者にとって、岐阜や豊橋の運転は緊張を強いられる。
しかし、忠節橋を渡り、郊外に抜けて岐阜大学の看板が見える頃は、景色が一変。

終端・・・

今まで平らな道を走ってきたのに、その行き先が山々でさえぎられるような景色に遭遇する。
濃尾平野の終端だかどうだか知らないが、あの終端感は、日常の風景にない感覚なので、新鮮に感じる。

そんな終端感を感じられる場所、長野県松本市。
周囲を山に囲まれたこの地は、松本平だとか松本盆地だとか呼ばれる地で、独自の発展を遂げたとも言われるらしい。
なるほど。
ということで、GWの真っ只中、困ったら車の中で寝ればいいか、という無計画な旅程で足を運んでみた。

まずは、松本城。



「国宝松本城」だが、よもや国宝が街の真ん中に置き去りにされているとは思うまい。
ヘタな都市計画なら、大きめの公園を置くような場所だが、そこに国宝が置いてある。何かすごいなと思う。
また、白壁の名古屋城を見慣れた人間には、この黒いを「カッコいい」と思う。理由はないが。
そして定番(?)、水辺の生物。今回は、池の鯉のお出迎え。



50cmじゃ足りないサイズの大鯉。鯉の肥満児。
こんなのばかりがウヨウヨしているのはどこにでもありそうな風景だと思われるかもしれない。
しかし、それ程、水深がないので圧巻というか威圧感がある。


さて、もう少しまともな被写体を選べば良いのだが、次に撮影したのが、これ。



松本城よりちょっと歩いた所にある「繩手通り」で発見した。
カエルが至る所に置いてあるので、マスコットか何かだろうか。
正確な旅行記を書いたりするのが目的でないので、どうでも良いとは思うが、それではあまりにも無責任なので、ざっと調べてみると…
繩手通りというのは、四柱神社の参道で、いろいろな興行が行われていたので人が集まり、何かを買い求めたりする人で賑わう場所であったらしい。
そんな場所だが、昔から馬車通行止めの場所、人々が歩行者天国で「安心して買える」などと言っていたのが、何時の頃からか「かえるの街」になったと。

ふーん。

ただの駄洒落ジャン!

で、何か妖しいものまであるし。



身長2mでは足りない。
とは言え、私はカエル好きのようだ。心の中で許してしまった。
そして、恐らく「カエル祭り(http://www20.tok2.com/home/sachizdaru1/)」なるイベントには足を運びたいなと思う次第。
カエルの魔力、恐るべし。
ちなみに、こちらが、四柱神社。



バックに見えるのは、NTTの大きなアンテナか。
よもや、こんな風景の近所に国宝があるとは思えないだろうが、実際は近所に国宝がある。
松本市、恐るべし。
でも、こんなアンテナでも、撮影の仕方を工夫すればそれなりに使える。
例えば、

 

それぞれ「古の塔の傍に」とか「新緑と五月晴れ」とでもタイトルをつければ、使えないこともない。
もしかしたら、写真家と言われる人のうち、何割かはコピーライターじゃないのかいう疑惑が湧いてくる。
うーむ、新しい目線を開拓したぞ。

近隣をブラブラすると、ブドウジュースをこぼしたような甘ったるい香りが鼻をつく。



香りの元は、フジ棚だ。



うん、フジがどういう植物かは知らないが、こうやって見ればブドウに見えなくもない。
あながち、ブドウジュースの香りなんて表現も悪くないだろうと、勝手に思うことにする。


ほら、小さくしたらブドウ・・・に見えないか。

見事の下でギターを弾きながら詩歌を吟じるジイさん。



曲目はド演歌だったので、個人的には三味線の方が良いと思ったが、フジをブドウジュースの香りなどと勘違いした事と相殺して帳消しにしよう。

さて、宿探し。
GWの真っ只中に、そんな物が、と思ってみれば、観光協会とかに足を運ぶと、なんと宿を紹介してくれた。
思わず、そこは屋根がありますか、と聞きそうになったが、今となっては、安ビジネスホテルは貧乏会社員にとっては十分な宿泊施設。
こういう時、一泊ウン十万の部屋じゃいと泊まれないような人種ってのが哀れになってくる、などと言うのは貧乏人の負け惜しみか。
駅の構内で寝入ったり、健康ランド泊という手もあるだろうが、身の危険を考えると、ちょっと遠慮したい。ハッテンする気はサラサラないので。
何はともあれ、屋根とドアがあれば安心して寝ることは出来る。一応、サイトの更新を済ませて就寝。

翌朝、目覚める(当たり前だ)
ビジネスのお約束、開いた部屋からドンドン掃除が入る。
気がつけば、同じ階の他の部屋の全てのドアが開いている。
よもや観光地に来てチェックアウト時間ギリギリまでのんびりしている阿呆は居ないのか。
うーむ、ちょっと世間を勉強させてもらったなぁ。

そもそも、普段から休みの日は惰眠を貪っている人間。
朝の10時でも、早起きをした気分だが、さすがに、この空を見れば目が覚める。



松本駅から車で5分程度の場所にある、城山公園。
何なんだ、この色使い。爽やかだが、どこかで見たような・・・。
緑と青のコントラスト・・・

こいつだ!

エプソンダイレクトのロゴマークは緑と青。うーむ、恐るべし地場産業。
いや、この青と緑が元かどうかは知らないが、私が広報部長ならば、この風景にこじつけてクリーンなイメージを押し出すだろう。
うわぁ、爽やかな写真を写しておきながら、自分が一番俗物だ。

気を取り直して、こんなモノを撮影。



植物の名前は知らないが、きれいだと思うことは可能だ。
これが、年寄りになって頑固頭になったら、ポケット植物辞典を見比べながら納得しないと気が済まなくなるのかなぁ。

何はともあれ、この草、結構、横風に煽られているように見える。
それもそのはず、GWの後半は、折りしも大雨やら強風やらが吹き荒れていたが、この日も結構な風が吹いていた。
そんな折に、展望台に上がってみる。

うわあああ、



眼下に広がるパノラマ!だけに感動している訳ではない。
カメラを持つ手がぶれるのを「手ぶれ」と言うが、体全体が吹く風のために安定しない。
体ぶれとでも言うか。
ちなみに、風景の真ん中に松本城があるが、建物に混じってしまい、現地では発見しにくい。
これを、拡大してみると、



昨日も登場したNTTの鉄塔。これは目印として十分使える。
NTTの鉄塔は電波を導くだけじゃなく、市街地に埋もれた国宝も導いてくれる。
と、誉めたところで何も出る訳じゃないので、この程度にしておく。どうも、俗物だなぁ。

さて、反対方向には、北アルプスの山々が見える。



まさに、松本平。これぞ、求めていた終端感。
ガーッと広がった市街地、その終端にドーンと山がそびえ立つ。
高い山だけを見ていては、その大きさがわからないが、こうやって見ると、絶景と呼ぶしかない景色が広がっている。
うーむ、住んでいる地域、育った土地によって景色が違うんだろうなぁ。
少なくとも、生活圏の「山」が猿投山(628m)である人間と、松本市民のイメージする「山」はあまりにも違う筈だ。

展望台の上で、前も後ろもないが、この目前に広がる松本平の住む人々をうらやましく思うのは、単なる隣の芝が青いという感覚ではないだろう。



さて、忘れていないか、展望台の上は強風である事を。
この足で、近所の浅間温泉に足を運び、立ち寄り湯でじっくりと冷えた体を温め、ぐっすりと昼寝を取って帰路についた。
これを好日と呼ばずに、なんと形容できようか。

6月にはカエル祭りがあるらしい。



またこの地へ、帰る日まで。
本日の好日度:★★★★★ 「I'll be back」