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ディープで奥深い街 〜大阪・堂島界隈、他〜

2004/10/09
 10月9日、折りしも「今年最大」と肩書きの付いている台風が「直撃」と予想されている日に、大阪に向かう。
主な目的は、コラムニスト・勝谷誠彦先生が、日経パソコンで連載されている「電脳血風録」、その単行本出版を記念して行われる、トークショウ&サイン会に参加するためだ。
何もこんな台風の日に「ホモに会いに行かんでも」という声がしなくもない。
しかし、ネットによって個人的に情報を発信できるようになり、大きなプリンを作ってみたり、巨大な食物にチャレンジしたりと、「ウケ狙い」サイトが増えたようだ。
確実に自己満足の世界。
見てくれる人がいれば、と信じて、そのネタ収拾を「理由」に行動する阿呆も少なくないだろう。


ええ、ご指摘の通り、私も、そんな阿呆の1人だ(笑)


さて、乗ろうと思った近鉄電車が、唐突に運休になり、危機感なく通常営業している長蛇の列の近鉄窓口で払い戻しをし、慌てて新幹線に飛び乗った話は、どこかで書いたので割愛するが、こうやって書いてしまうと数行で終わる話・・・
無駄に1000文字も必要なかったかもしれん。


話は、唐突に大阪駅に到着した時からになる。
駅構内に、生ジュースの店があり、ああ、都会らしい「お洒落な感覚だ」と思ってみていると、結構な「オッちゃん」が意外にもフルーティなジュースを求めて買いに来ることに気付く。
この時、何か違うぞ、と感じた私。実は「日本には、日本人と大阪人が住んでいる」と信じている。

何か心に引っ掛かる違和感を引きずりつつ、会場となる「堂島アバンザ」という所を目指す。
ありがたいことに、携帯電話にGPSが付いており、前日に、その場所の緯度・経度を登録しておいたので、迷う事はない。
IT関連の人間らしく、電子機器を使いこなしているなぁ、と感慨にふけるが、おそらく、大阪人からは、そんなものがなくても迷うような場所ではない、と指摘されるであろう。
事実、道沿いに歩いていけば、到着するのである。こんな近所に、GPSなど大袈裟な仕組みは必要ない。本当に電脳バカという奴らは(笑)
青でも緑でもない、ビミョウな色合い。こういう色合いが個人的に好きなので何となく撮影してみる。おしゃれだ。

そういえば、地元豊田市には、こんな洒落たビルはないなぁ、と思いつつ、見上げてみる。


こんな所で、上を向いて撮影している私。
100%田舎モンだ。


せっかくなので、散歩をするフリをして、周辺を見回ってみよう。
ビルが洒落ているだけではなく、緑も多い。
ふと、都会の緑について思う。
都会の方は(自然とは言えないが)街路樹が多いため、思っているよりも木々が多いと感じるのだが、これが近隣の都市になると、一気に減ってしまう。
多分、木々を植えるよりもビルを建てるのに躍起になる田舎モン根性なのだろう。
Uターンで田舎に帰った若者などは、コンクリートだらけの街並みに変わってしまったことを驚くんじゃないかなぁ。

と、目の前に変な物体が。
堂島アバンザのビルにマッチした(?)デザインの、ガラス張りの多面体がそこにあった。


寄ってみよう。





ん?!





おお!





ここれは!


あまりにもビルにマッチした「オブジェ」、それが「堂島薬師堂」、大阪恐るべし!
まぁ、信心深い人も減って荒れ放題になる過疎地の神社・仏閣よりは、こうやって都会的な衣をまとって後世に伝えるのもありだろう。
何か、伝統を守る事の「形骸化」と「中身」を考えさせられるオブジェだ。
ただ、これはどんなモノだろうか。
わずか数メートルのところにある、お百度石。
あの本堂との間なら、それほど100回の往復は辛くないように見える。
ただし、人を呪う場合などは、人に見られると成就が出来なくなると言われるので、結果的には難しいかもしれない。場所が場所なだけに人の目が多く、人道的には良い話だ。

さて、そろそろ時間だ。
会場に向かおう。
会場は、堂島アバンザの1〜3階を占める「ジュンク堂」という書店だ。



えっと、3階の喫茶スペース、喫茶スペース・・・


って、書店の中なのでむやみに撮影する訳にはいかないが、この書籍の多さはどうだ!
店内ではGPSが使えないので(笑)案内図だけが頼りだが、下手な客なら迷い疲れるほどの在庫量だ。ここに来て、欲しい本が見つからない、という事態が考えられないほど。
そんな中で、地元のジャスコの片隅にある本屋と比べている自分が恥ずかしいよ。
おそらく、その土地に住む人間の生活レベルを見たければ、本屋を回るのも1つの手じゃないだろうか。
そういう意味では、この地に住む人のレベルは低くない。
それに、ネット通販の進出で潰れる実店舗が多い中、生き残っている店舗は違うなぁ。
3階の喫茶コーナーは本当に店の一番奥だ。
行ってみると分かるが、幾つもの書棚を越えに越えて辿り着く一番奥。おそらく、東京ならカリスマかカリフラワーか知らない訳の分からない店員を配置した不愉快な小店舗を幾つも詰め込んで「聖地」だと宣伝するのに十分な広さのフロア。
そのフロアを3つ重ねて、全部書店とは。カルチャーショック。
さぁ、トークショウの始まりだ。
正直な話、どういう「筋」の人が集まるのだろうと思っていたのだが、日の丸を掲げて軍服を着込んだ人も、手と手をつないで戦争ハンターイと叫ぶような人種も見当たらず、極めて普通に「見える」方々だ。
そんな中で、極めてオタク度が高いのは自分かもしれん・・・

話の内容は、さすがに大阪出身の先生。
妙な標準語でコメントするよりも、大阪弁での話は活き活きとしている。
私のような「大阪初心者」にも、分かりやすい大阪ネタ。
大阪にはお洒落な建物を建てても「立飲み屋」が出来てしまうのは何故だろう、なんて話もどことなく笑えてしまう。

電脳血風録の単行本記念だが、あのイラクでの一件も話題に上がっていた。
多分、その場では銃口を突きつけられ、彼岸が見えたかもしれない状況であっただろうに、笑いながら話している。いや、命懸けですから、と思いながらも、笑ってしまう。

そんなこんなで、トークは約40分。
何を話そうか、なんて始まったトークだが、気が付けば、もう時間か?と思うほど濃い話。
やはり、プロというのは違うなぁ、とつくづく感じる。

続いて、サイン会。
実はサイン会というモノに参加するのは初めて。
葬式の焼香と同じく、列の前の方の人の作法を観察するが、一緒に写真を撮ったりして、思った以上にフレンドリーな感じ。
よかったぁ。

さて、最後の方で、順番が回ってくる。
「mizuno-ami」で通じたことに感激。「若いなぁ!」と驚かれたようだ。
高校時代に教師と間違えられた老顔「若い」と言われた経験はあまりない・・・(涙)
普通は、一緒に写真を撮るものらしいが、やはりココは「ネタ」の一部として、先生のお姿を頂く事にする。
気さくに応じて頂いたものの、ファインダーを覗くと、そこにはコラムニストにしてプロカメラマンの「勝谷誠彦」だけが入っている。
ここで緊張しない素人がいるだろうか。気が付くと、シャッターにかかる指が震えていたりしたが、こんな笑顔の1枚を収める事が出来た。
念のため、「ネタに使っても宜しいですか?」と確認。快諾して頂いたので、ココに掲載。
(このような使い方で、ネタにさせて頂きました。>マネージャ様)
※クリックすると、大きな画像が表示されてしまうので、ご注意を。
ちなみに、先生の顔をOhyoi3が描くと、こんな感じ・・・
似てなくとも言い切れない・・・・・・か?
さすがに、最後の方はお疲れの様子で「やっと、最後が見えた」と漏らされていたが、最後までこのスマイル。
終わった後も、会場の片付けを手伝おうとする姿などを見かける。何か、プロを見た気分だ。


いや、プロだし・・・


物理も化学も苦手と申されていた先生、実は、この喫茶コーナーは、バリバリの工学書コーナーの奥にある。
私も知らないような「漬物学」なる学問の本まで並ぶような書棚近くとは、面白いものだ。
何はともあれ、お疲れ様でした。
壁に貼られたポスターも、自分の役目を知ってか、こんな状態になっていた。
個人的には、目的としていた出会いも達成でき、随分と自己満足。良かったなぁ。


とりあえず、大阪の街を眺めながら帰る。
確かに言われていたように「立飲み屋」が多い。
名古屋の地下街なら、ケーキ屋があるだろう、という場所に、椅子すらないカウンターだけの飲み屋。まだ、こんな時間だろうに、水を飲むように酒を飲んでいる。
なるほど、生ジュース屋を訪れるオッちゃん、立ち飲みに対して抵抗感がないのは、こういう立飲み屋が多いからなのか、と到着時の疑問が氷解する。
また、地下街という地下街、どこからも「食べ物」の臭いがしてくるのに驚いてしまう。
甘い香りだけでなく、アブラ物の匂いやら酒の匂いやら。食い倒れの街とは、よく言ったものだ。
そういえば、バニラの匂いを常に嗅ぐ事で、満腹感を覚えて食事量を減らそうという「バニラダイエット」なるものがあるようだが、大阪の街を歩いていると、そんなものに効果がないことは、よく分かる。

ところで、西原先生の「恨ミシュラン」で、大阪では道でオッちゃんが寝ているのは普通、と書かれていたが、ホントかなぁと考える間もなく、目の前にオッちゃんが寝ている。
ああ、だから、このような看板があるのかなぁ。
地下街から地上に出る途中に、このような看板があるとは・・・これは、あまり誉められたモノではないが。


トークショウで、美少年の話題を嬉々として話されている先生の姿。本当に、ホモ勝なのかいう疑問は、果てしなくグレーに広がったが、すっかりと「気取り」を捨てた大阪人の気質なのであろう。
そして、自動販売機で見かけた、この広告。
ああ、やっぱり大阪なのだ、と大阪を堪能した気持ちがした。

本日の好日度:★★★☆☆ 「歩いているだけでお腹一杯」