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人々が、餅に翻弄される5分間 〜愛知・豊田市〜


2005/10/09
 「棒の手」、古くから伝承されてきたもので、祭礼などの奉納行事として行われてきたものである。
その勇壮闊達な演技は、時代を超えて見るものの心を捉えて離しません。
・・・と、サイトには書かれている。
どんな演技かと言えば、
    棒の手
    「きえぇえええ!」「せいっ!」
このようなもの、なるほど勇壮闊達である。
幾つかの流派がある中で、これは迫・棒の手保存会が継承する「藤牧検藤流」と呼ばれるもの。
豊田市藤岡地区、合併前の藤岡町で行われている。
10月初旬の日曜日、何故か、迫地区のお祭りの日は、毎年判を押したように晴天に恵まれる。今年も、昨日の雨が嘘のように晴れ渡っており、汗ばむような陽気であった。

棒の手の演技、子供らは、単なる「棒」で行うのだが、大人に至っては写真のような刃物としては不完全だが、十分に殺傷能力があるんじゃないかと思われるような「武具」で演じられる。
    棒の手
    ※後ろの女の子が緊張感を損ねていますが、気にしないで下さい。
こんな「うわっ、あぶねぇ!」っと思われる場面が多々ある。
しかし、棒の手そのものの魅力については、後日述べるものとして、ここでは祭りの最後を飾るイベントについて紹介したいと思う。


棒の手の演技も終わり、一通り静かになった神社の境内。
奥に置いてあった紅白の足場が広場中央に運ばれてくる。
    準備中
    ※画面中央のオッサンは、特に関係ない人と思われます。気にしないで下さい。
それに合わせて、集まってくる皆さん。
    ぞろぞろ
    甘いものにアリが集まってくる様子を、人間スケールに拡大したような風景です。
どこからこれだけの人数が集まってきたんだ、と思われるような数だが、この祭りの最後は「餅投げ」が行われるのだ。
そして、ここに集まったのは、餅を拾うために集まってきた人たち。
たかが「餅」ごときに、と思うが、人間は欲深い。
その上、ラッキーな「餅」には「くじ券」が入っており、醤油や食品用ラップなどの日常品から豪華な「液晶テレビ」「デジカメ」などが当たるのだ。
    豪華景品
    「液晶テレビ」「デジタルカメラ」「電気ストーブ」、同じ包装だとちょっと高級感が感じられない・・・。
と言う事で、集まってきているのだ。
    さらにゾロゾロ
    老若男女、入り混じっての混合バトルにご参加の皆さん。
この餅投げ、地域によっては「子供の部」「大人の部」などと安全面や公平さを配慮してあるらしいが、ここではそんな区分けはない。
大人も子供も爺さんも婆さんも混じって拾う。
であるならば、こういう体格の人の近くにはあまり行きたくないものだ。
    さらにゾロゾロ
    後姿からも、何らかのオーラを感じます。
棒の手を終えた猛者も混じって、会場はウォーリーを探せ状態。
左を見ても、
    左手をご覧下さい
    ウォーリーはどこだ?
ぞろぞろぞろぞろ。

右を見ても、
    右手をご覧下さい
    あ、オーラの彼を発見!隣の爺さんの魂が抜けかけてます。
ぞろぞろぞろぞろ。
コンビニ袋を腕に装着した人たちの「戦意」が高まる中、偉い人と思しき人物の挨拶が始まった。
    ご挨拶
    『え〜、本日は、お日柄もよろしく。人間、3つの袋が』『早くしろ〜』『こっちに投げろ〜』
特に長い挨拶でもなく、あっさりと挨拶が済んだかと思うと、いよいよ餅投げが始まった。
しばらく、餅の行方とそれに翻弄される人たちの行動を、映像とコメントで堪能して頂きたい。


    始まり
    『こっちこっち』『投げてくれ〜』

    キター
    ドドドドド、『うぉ、キター!!』

    せいっ!
    『せいっ!餅じゃ、餅じゃぁ〜!』

    頭上注意
    『来た〜!』『キターッ!』『痛ぁー!』

    そら飛ぶ餅
    大空高〜く、舞い上がる餅。酔っ払いのオッサンが投げているとは思えない程上空へ。

    待ち構える人々
    それを待ち構える人々。見事に受け止められれば良いけど、頭に当たったらかなり痛い・・・。

    せのびー
    飛んでくる餅に対して、上空で待ち構える人。『背伸びして袋を広げて〜』

    地面を狙え
    実は、迅速にしゃがんで下に落ちた餅を拾う方が効率が良かったりして。
    実際、下を這いまわっている子供の方が戦績が良かったりします。
    ポカ〜ンと立っている黄色い服の男性は暇そうですが、白い服の女性は多分、逃げてます。


    地面を狙え
    でも、すっ転がってはキケン、キケン。
    速やかに立ち上がらないと、韓国タレントのコンサート会場の二の舞です。


    こっちも
    こちらにも、逞しい体格の人が居ます。後ろの婆さん、その場所は、場合によっては三途の川の近くになるかと…。

    カメラマン
    隣で写真を撮っていたニコンのオッちゃん、途中で居なくなったと思ったら…
    こんなところで餅を拾っていました。
    景品の「デジタルカメラ」よりも、持っている一眼レフを守った方が絶対に得だと思いますが。


    ジェスチャー1
    【アメリカ人風ジェスチャー その1】
    オーノー!ドーシテ、コチラニ、モチ、トンデコナーイ!


    ジェスチャー2
    【アメリカ人風ジェスチャー その2】
    ヘーイ、スティーブ、ナゼ、モチ、コナイ?ホワィ?


    勝者
    【ウィナー:勝者の法則】
    ゴチャゴチャ言っていないで、さっさと拾いなさい。


    そろそろ終わり
    『さーて、そろそろ、終わりだよ〜ん』『これ以上続けると、怪我人が出るからね』

    終了
    『おしま〜い、ありがとうございました〜』

と言う事で、戦いすんで、日が暮れて(実際は暮れていないが)、壮絶な餅投げが終わった。
戦闘時間は、約5分。
実際に自分があの中に混じって拾っていた頃は、とてつもなく長く感じたのだが、実際は想像以上に短い事を知り、驚いている。
戦闘が終わっても、まだまだ人は動かない。なぜなら、その場で「くじ」を確認するからだ。
    お楽しみタイム
    『何枚(くじが)入っていた?』『オレ、全然』『こっちの方、全然飛んでこないんだもん』(←これは、誰もが使う言い訳)
境内のあちらこちらで、くじを確認する光景が見られる。
ちなみに、現在時刻は16時30分、景品の交換は17時まで。急げ急げ。
    何等かな?
    こういう子供が大型賞品を当てたりします。
ちなみに、先ほどの写真でも分かるが、液晶テレビなどは「102」番。
くじを開いた時「1」とか書かれていると「1等」かと勘違いしてしまい、後からビニール手袋やらポリバケツだったりすると、かなりガッカリする。
逆に、親戚のうちに遊びに来て、たまたま拾ったら当たってしまった、という事もあるようだ。
例えば、こんな感じか。
    げっとだぜ
    大型景品をゲットしました。『どうやって持って帰ろう?』
逆に、醤油とか箱ティッシュとか、重かったり大きかったりするものばかり大量に当たったりする人もあって面白い。
ちなみに、撮影しながら飛んでくる餅を5つ拾う事が出来た・・・くじは1枚も入っていなかったが・・・。

迫力ある餅投げ、機会があれば、是非、あの紅白のやぐらの上から撮影したいものだ。
    馬さん
    『機会があれば「棒の手」のお話の中でお会いしましょう』
壮絶ともいえる棒の手。そちらは演技だが、餅投げは真剣勝負だ。
たかが餅、されど餅。多くの人がこれほどまでに興奮する様は、なかなか見られるものではない。
老若男女入り混じって、餅を投げ、それを拾うのは、豊作を喜んでの風習だろうか。
危ないとか怖いとか、そういう事よりも、人が人として自然の恵みの前にある姿勢は大切だ。

帰り道、この時期は、夕日がちょうど自分の前に長い影を作る。
秋の祭りが終わった豊田市郊外のこの地域、餅投げの興奮が冷めた頃、本格的な秋を迎える。
ふと、体力が衰え気味の婆さんを、来年は連れてきて見せてやりたいな、と思った。



【追記】2007.10.15
この記事から2年後の2007年のお祭の時は、カメラを片手に餅拾いに挑戦した。
動画を撮りながら、餅を拾う様子は↓こちら(音声なし)
餅を拾いながら撮影している関係上、カメラワークがとんでもない事になっており、映像が乱れに乱れている。
万が一、映像を見ていて気分が悪くなっても責任を負いかねるので、自己責任で視聴を。
本日の好日度:★★★☆☆ 「撮影していると拾えない…」