『申請される方は、13、14番窓口にお越し
下さい。』 そう書いてあるので、空くのを待っていたら「整理券を取ってお待ちください」と言われてしまった。 不愉快だ。 他の申請については、備え付けの用紙が置いてあり、それに記入してから「整理券を取ってお待ちください」と書いてあるが、「住民基本台帳カード」の申請に ついては、用紙は置かれておらず、冒頭の張り紙があるだけ。 とりあえず、窓口で用紙だけ貰えるものと思ったのだが、結局、用紙を貰うためだけに順番待ち? 最初から、そう書いておけばよいのに。 お役所の「流れ」と言うのが、今ひとつ分からず、初手から狼狽。 この先大丈夫なのかなぁ… 特に理由はない。 唐突に思いついて「住民基本台帳カード」とやらを持ってみようと足を運 んだ豊田市役所、市民課の窓口。 仕方なく、「整理券発行機」のボタンを押して、整理券を貰う。 吐き出された紙切れに書かれた番号は「500」番。 コンビニの買い物が「777円」だと嬉しいオイラでも、今は「キリ番ゲット!」と喜ぶ気持ちにはなれないデス。 しかし、平日昼間の市役所など、あまり来る機会がないので、見るもの全てが珍しい。 思わずキョロキョロと見回し、ウロウロと歩き回ってしまうが、これでは単なる不審者か。 とりあえず、市民課の窓口辺りを中心に、周囲を観察してみる事にした。 市民課の窓口、よく見ると、若い男女が多く訪れている。 何で平日の真っ昼間に、と思ったが、よくよく考えれば、婚姻届だ。 目立つので、余計にそう思うのかもしれないが、何せ数が多いように感じる。 今日は日柄が良いのか?と思って六曜カレンダーを確認するも、今日は「仏滅」 最近は、六曜なんて気にしなくなったのかな、と思う。 市民課の申請窓口の隣は「外国人登録」の窓口。 こちらも、それなりに人が多く集まっている。 どこかの自動車会社の下請けで、安い賃金で働かされる外国人が多いのか知れないが、登録は悪い事じゃなかろう。 登録もせず、勝手に入り込んでくる連中に比べれば、むしろ仲良くすべき存在。 外国人の癖に、日本人と同等の権利をよこせ、という連中など論外だ。 「Alien Registration」 そのうち、異星人の登録も来るのではないだろうか。 499番をスキップして500番が呼ばれる。 もしかして、何となく縁起が悪いので499番は欠番なのだろうか? 一方で六曜を気にせず届けられる婚姻届、その一方で縁起をかついで欠番を設ける窓口。 この対比は、お役所仕事と市民感覚のズレを表しているようで面白い。 とは言え、499番を欠番にしている(としたら)市民課に好感を感じるオイラは古臭い人間なのかも知れない。 さて、申請はとりあえず用紙に住所氏名などを書け、と言う。 キーボードを叩くならいざ知れず、オイラの手書き文字など古い倉から発見された蔵書よりも難解な文字。 よく言えば「個性的」、よく言わなければ「ヘタクソ」だ。 もう、窓口係のお姐さんの前で、そんな難解な古代文字を書く事が恥ずかしいから、こっそりと「備え付け用紙台」で記入しておきたかったのに、目の前で、そ れも2枚も書かされるのは拷問かぁ! って、何で2枚も必要なのか?1枚で済ませぃ!お役所 仕事め!ってここは、お役所だけどね。 住民基本台帳カードは2種類ある。 1つは身分証明を兼ねる「写真つき」のもの、もう1つが電子証明などオンラインで使う事を中心とした「写真なし」のもの。 カードの有効期限は10年。 期限切れの頃には、もう別人のような顔写真が貼られている恥ずかしい状況にあることが想像できたので、写真なしで作る事にした。 そもそも、写真など持って来ていないし、身分証明なら運転免許証で十分。 幸い、受付のお姐さんは古代文字を正しい日本語と解してくれたようで、事務的に処理を済ませ、事務的に「もう1度、500番で呼びますので、あちらでお待 ちください」と言う。 はぁ、と納得しつつも、いまだに、この申請用紙を窓口で受け取って記入しなきゃならない理由がよく分からない。 備え付け用紙で良いのに。 市役所のホームページでは約30分程度で発行されると書かれていた。 よく見れば、ホール中央に大きな電光掲示板があって、何番の整理券を持ったお客様は何番窓口までお越しください、とアナウンスま で入っているではないか。 書類の申請と客商売は違うから「お客様」ってのも変な話だと思うのだが、その昔、ちょっと窓口を間違え ただけで、大声でギャアギャア叫び、あちらへ行けと騒いだ愛知県の運転免許試験場の窓口のババアに比べれば一億倍はマシであろ う。 初めての運転免許試験場で、勝手も知らずに居た若き日のオイラ。あのババアに怒鳴られた事はトラウマになっているわけで、オイラがチョウセン人なら謝罪と 賠償と求めつつ一族末裔まで恨んでいたところだ。 電光掲示板を横目で見つつ、書棚の辺りをウロウロしてみる。 「とよたのきのこ」とか訳の分からない冊子が置いてある。自然を紹介する冊子だろうか。 キノコ以外にも色々ある。 学術研究の1つかもしれないが、「自然オヤジ」の趣味としか思えない。 こういうところで物を書く、というのは面白い事かも知れないが、オイラが書く事は市役所に置くのに不適切な内容を含むであろうから、無理な話か。残念。 500番が別の窓口で呼ばれる。 書類の受け渡しの窓口だ。 行ってみると、2人ほどの人間がパソコンを操作したりしている。 あまり、住民基本台帳カードなんて数が出ないんだろうな、という感じがヒシヒシと伝わってくる。 その揚句に、この用紙に住所と名前を書け、という。 うーむ、1枚のカードを発行するのに3枚も書類を書かなきゃならんのか。 もう少し書類を整理するだけで、紙の使用枚数が3分の1になるぞ、ゴラァ。 その柱に貼ってある「ISO14000の認証取得」云々のポスター、どういう考えで環境に貢献しようと思っているのか、一度、機会があれば話を聞いてみた い。 とは言え、善良な市民なオイラは、借りてきたネコの如くオトナシク住所と氏名を記入。 この後、やや煩雑な手続きによってカードが発行される。 こちらは言われるままに操作するだけなので、何の苦労もないのだが、おそらく、カードを発行する手続きと、カードに電子証明書を保存する手続きの2つがあ るのだろう。 それぞれ担当が代わって作業を進め、市民課窓口を含めると、合計5人の人手をかけてカードが発行されるのである。 扱うものが扱うものだけに慎重であるのは良い事だろう。 しかし、その一方で、剥き出しの端末で暗証番号を設定させる感覚は理解に苦しむ。 発行してくれたお姐さんに話を聞いてみると、カードの発行数はあまりない、との事。 ただし、確定申告の時期には一時的に増え、今が落ち着いている状態だとか。 なるほど、そういう場面で使われるものなのか。 特に理由もなくカードを取得にきたオイラは、使い道など考えた事もなかった(笑) さて、豊田市役所のカードはこんなICチップタイプのカードだ。 パソコンとICカードリーダがなければ使えない。 カードリーダについては、使用できる機種の一覧を貰ったので、それを眺めてみる。 ICチップタイプは接触だけと思っていたが、非接触の機種も並んでいたので 「あ、非接触のでも大丈夫なんですね?」
と尋ねてみる。 「さぁ、詳しいところまでは良く分からなくて。」
という窓口のお姐さんの回答は、このカードの流通実態を表すのに適切であろう。 使い方や案内などの書類やパンフレットに加え、こんなCD-ROMまで渡された。 なんだか、大袈裟なものを受け取った気分だが、パンフレットを眺めると、基本的な認証の仕組み以外、つまり、内容に変更があったり、更新したい場合など、 ほとんど全ての場合が「窓口にて申請」と書かれている。 何のためのオンラインなのか?? オンラインで色々な申請が出来る電子政府。 シュレーディンガーの方程式からは、電子の存在などは確率としてしか捉えられず「電子雲」などと表されるが、この「電子政府」の存在も、雲を掴むような曖 昧模糊たるものじゃないかなぁ、と思えて仕方がない。 そして、この手の公共事業の曖昧模糊たる暗黒の果てに、無駄に税金が消えてゆくという不可解な現象がしばし観察されるが、エネルギー保存の法則からして、 税金が消滅する事は有り得ない。 確実に、どこかの誰かのフトコロに、この「電子政府」の恩恵が流れ込んでいる筈である。 窓口のお姐さんに罪はないが、せめて「お役所仕事」という俗語が「悪い意味」でなくなるよう、努力して欲しい物だ。 ・・・ところで この「住民基本台帳カード」は、こんなケースに入っていました。 「地球にやさしい」生分解性プラスチック… ま た、君か! って言うか、 もう、分解が始まってるし…orz |