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2007松本「縄手カエル祭」 〜松本市〜

    かえるまつりを支える小さな主役
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 何だか、常連のようになってしまい、色々な人と話す機会が増えた。
まぁ、駄文ながらも毎年大量に写真が載っていれば、それなりに見る人も居るだろう。ありがたいことである。
一方で、人込みは苦手だなぁ、という人でも楽しめるのが、このかえるまつりの醍醐味だ。
ナワテ通りのあちこちに点在するカエルグッズを眺めるのも一興だが、ここでは、足元に注目したい。
    ケロ子さん
    ■「やぁ!こんにちはケロ」
昨年、紙粘土による「棒付きカエルちゃん」を、通りの花壇や植え込みなどに飾ってみたが、今年も、その姿を見ることができた。
風習として根付いているのだろうか。
特に、昨年は「フランソワとタマサブロー」という公式マスコットを(一応)模したものだったので、そのバリエーションには限界があったが、今年は、より自由な発想で作ったのであろう。
「カエル!」「カエル!?」「・・・カエル?」など、様々な棒カエルに出会うことが出来た。
「棒カエル」って、センスないな。「棒ケロ」「ケロン棒」「ケロ棒」、何となく「ケロン棒」が気に入ったので、そう呼称する事にしようか。
(ちなみに、昨年のコレクションはこちらでドウゾ。撮影団助手による、お手柄画像です。)
という事で、それらのケロン棒を見ていこうと思う。
    キョロりん
    ■「い、いきなりオイラ!?ビックリしたケロ」
黒目が点と描かれているだけの、いわゆる「点目」のフランソワもカエルに見えるが、この白目ギョロリのカエルくんもカエルだ。
色々な表情があっておもしろい。
    武藤くん
    ■「ん?拙者を撮るとな。貴殿は写真家か?」
ちょっとクールな感じが素敵だが、もしかしたら、ウインクかも知れない。
どういう人が作ったのか考えながら見ると、それもまた楽しいだろう。

こちらは、カエルの「横跳び」、ちょっとシュールな画像だ。
    佐山さん
    ■「あぁ、お父さんには、ヨロシクとお伝えくださいケロ。」
表情1つで、どうしてここまでおもしろいのか。
思わず、自分でも作ってみたくなるのではないだろうか?
    バケたん
    ■「オバケだぞ〜、食べちゃうぞ〜、ケケケケロケロ」
    紫ちゃん
    ■「実際は、私たちは食べられる側ですけどね。」
しかし、このケロン棒を気にしながら見ていると、足元に落ちている「緑色したモノ」が全てカエルに見えてくる、という弊害がある。
おそらく、カリンだろうか?
一瞬「あ、ここにも居た!」と思って苦笑した1枚だ。
    バーボンハウス
    ■「やあ (´・ω・`) ようこそ。緑だけどカエルじゃないんだ。」
一方で「カエル=緑色」という枠組みを越えて、とても自由な発想で作られているケロン棒も少なくない。
どこかしら困ったようなこのケロン棒は、見事な「赤ガエル」だ。
    山下課長代理
    ■「何だか、真っ赤だけど、良いのかな、私?」
その昔「がんばれ!レッドビッキーズ」とか「それゆけ!レッドビッキーズ」という子供向けドラマがあったが、それを知る人がどれほど居る事か。
弱小少年野球チーム、女監督さんに萌え萌えだったわけだが、「ビッキー、ビッキー、赤ガエル!」と敵チームに馬鹿にされていたシーンと、この困った表情が被っている、見事なストライクだ。
もし、それを知っていて赤く塗っていたら、通常の3倍の賞賛を贈りたい。

変形ネタでは、こういう可愛らしいケロン棒も発見した。
    Gさん、Rくん、Bちゃん
    ■「カエル3兄弟」「似たような歌があったケロね」
控え目な表情が可愛らしいだけでなく、植え込みの中に控え目に置かれていたケロン棒。
    かくれんぼ
    ■「あ、見つかっちゃった。」
控え目な人が作ったのかどうかは定かではないが、妙に作者の方が気になる一本だ。

変形なら、こういうのも「有り」だろうか。
    夢想さん
    ■「私はカエル落し、あなたはお歳」、確かに…(涙)
どこかの民芸品売り場か、木のオモチャを扱っているところには既に存在しそうなデザインのケロン棒。
緑色の球体に2箇所の出っ張り、点目が2つ描かれるだけでカエルに見える、という単純なデザインは「カエルに見えるもの」の境界線に位置する究極のデザインではないだろうか。
カエルキャラクターの奥深さを感じる一枚だ。

「ウギャアァオオオ〜!」
か、怪獣が出た!
    ケロキング二世
    ■悪者にしか見えませんが、もしかして正義の味方だったらごめんね。
緑色の体に出っ張った目玉。
カエルの世界の怪獣も、基本はカエルだ。
ここは、正義の味方を呼ぶしかない。
「ウルトラマーン!」 と呼んではみたものの・・・
    ケロトラマン
    ■「だめだ、ツボカビで片腕が…」
うーむ、ナワテ通りのピンチ。
誰かこの状況を救ってくれ!
    あっこさん
    ■「私を見て怪獣逃げたケロよ。シツレイしちゃうわ。」
あの大物タレントに似た黄色いケロン棒が、ナニモノかは知らないが、ナワテ通りの平和は守られたようだ。
それにしても、正義の味方ですら手に負えないツボカビとは、いかに恐ろしいものである事か。

「ぎゃああああああ」

再び、平和なナワテ通りに響く叫び声。
    被害者さん
    ■ナワテ通り旅情紀行バラバラ殺人事件(殺蛙事件)
なんと、バラバラ殺人ではないか。
被害者は、この付近で四葉のクローバーを探していたところ、何者かに殺害されたと思われる。
    新米くん
    ■「ク、ク、クマさん、事件です!バラバラ殺人!」
最近の刑事ドラマでは、それぞれの刑事に「ニックネーム」がついているのか良く知らないが、ある時期の刑事ドラマでは、それが当たり前であった。
この事件も「クマさん」と呼ばれる刑事に伝えられる事となる。
    くま
    ■「って、そのまんまやないかクマ〜。」
情けないベタなオチで申し訳ないが、ナワテ通りの植え込みや花壇には、ケロン棒だけじゃなく、頼りになりそうもない連中も混じっている。
そういうモノを眺めながら1日過ごすのも、このかえるまつりの楽しみ方の1つだろう。
小さなケロン棒を眺めながらどういう人が作ったのか想像したり、頭の中で寸劇を楽しんでみたり、また、家に帰って真似して作ってみたり、と。
紙粘土は、比較的簡単に手に入り、彩色も難しくないので、お子様と工作をして遊ぶに最適な道具の1つだろう。
「カエルさん、おもしろかったね〜」と言いながら、微笑ましく紙粘土を練るのも面白かろう。
できれば、来年は皆様からの「持ち込みOK」とかにしても良いんじゃないだろうか。

一方で、紙粘土工作といっても侮れないモノがある。
ケセラケロさんのお店には、下手な寸劇を考えなくても、十分に楽しめる素晴らしい作品ばかりが並んでいた。
    微笑ましぃ
    ■「ポッポ〜、電車が通ります」「ガタゴトケロケロ」
小さな空間に収められた1コマの微笑ましい風景。
そこで繰り広げられる物語は、想像するだけで楽しい。
    サザエさん
    ■髪の毛…、可愛いので深く追求しません(笑)
えっと、サザエさんかな?
このように、パステルカラーを基調とする柔らかい彩色も、この作品の魅力だが、もう1つの魅力は背景だろう。

    ■「夏の空、暑いケロ。」「アリなんか真っ黒だアリ」
透明のアクリル版で囲まれた1つの小さな世界。
その閉ざされた空間に、限りない奥行きを与えているのが、背景に使われている空の写真だ。
手抜きをしようと思えば、フリーの素材集から「それらしいもの」を選んできて貼り付ければ良いのだが、この作品では「それらしい」は通用しない。常にベターではなく、ベストな素材を持ってきて貼り付けてあるところが、この作品を、より魅力的なものに仕上げている。
ご夫婦で作られているこの作品。
奥様が紙粘土でカエルを作って居るそうだが、背景の写真を撮っているご主人にお話を伺うと、作品への敬意を表すため、最適な「空」を常に求めているそうだ。
プロのカメラマンは、単に道具や腕だけで食っているのではない。
思い通りの景色が現れるまで待つ事や、また、運良くその場に遭遇する事も重要な要素なのだろう。
そういう意味で、作品のために空の写真を撮り貯め続けるその気持ちが、作品に深みを与えているのは確かだ。
素晴らしい作品に、あらためて拍手を贈りたい。

    キョロットくん
    ■「やぁ、ボクも良いかケロ?」
キョロっとした目が可愛い、こちらは紙粘土ではなくガラスの作品。
上垣彩さんによる、トンボ玉だ。
ツルッとした表面が、どこかしら本物のカエルのヌメっとした肌を模しているようで、この素材の選択は面白い。
若干、化学的なお話になるが、ガラスは固体というより液体の構造のままで固まってしまった不思議な物質だが、この表面の光沢が、どちらかというと液体的に感じるのは、そのためだろうか?
また、単純な表情をしているくせに、覗き込むと目が合うところがキュートだ。
ガラスの小さな目玉が2つ。それだけなのに、目が合うか、もしくは、このカエルがどこかを見ているのが分るからスゴイ。
    ヒトミちゃん
    ■「オッさんよりあっちのお姉さんを見てるんだケロ」
一方、同じガラスというカテゴリでも高山健太郎さんの作品は、ちょっと肌が違う。
    青太くん
    ■「よぉ、オイラも混ぜてケロ!」
 ホウ珪酸ガラス(ボロシリケイトガラス)という素材を使った不思議な模様の入った作品だ。
何だか難しい化学名を並べるよりも、耐熱ガラスのパイレックスなどと呼ばれるガラスと言えば分りやすいだろうか?理科室にあるビーカーとかフラスコの類、耐熱ガラスの調理器具などもこの手のガラスだ。
酸素バーナーを使って溶かしつつ、金属を吹き付けることで模様を作るらしいが、この「ボロシリケイト・アート」は比較的有名な分野らしい。
    ヒックリカエル
    ■「ごろーん」「ごろーん」「みんなでひっくりカエル」
並べてみると、何か模様があるな、というのが分るが、近くに寄ってみると…
    R15
    ■「恥ずかしいケロ。あまりジロジロ見ないでケロ〜」
花が咲いたような模様が作られている。
上垣彩さんの、ツルっとしたカエルと、高山健太郎さんの、模様入りカエル。
どちらも趣があって、選べといわれると、うむむ、と困ってしまうだろう。
小さなガラスのカエルたち。それぞれにそれぞれの表情があり、カエルキャラクターの奥深さを再認識させられる。


さて、色々と比べる事で、ナワテ通りを飾ってくれた小さなケロン棒を安っぽいなどと言うつもりは全くない。
どこに行っても顔を出す、個性溢れるケロン棒は、かえるまつりの新しい名物として定着しつつあるだろう。
昨年、わざわざ、紙粘土をこねる為だけに松本に足を運んだ事もあったが、それがこういう形で引き継がれ、皆の目を楽しませているのを見ると、とても感動する。
また、同じ紙粘土でもケセラケロさんのカエルフィギュアは別の楽しさを持っている。
閉ざされた空間と、広がる想像力。
どこかで空の写真を撮っているであろうご主人の姿を想像すると、それはそれで面白い。
たかが紙粘土、されど紙粘土。
かえるまつりを裏で支える、とても重要なアイテムだろう。

ところで、紙粘土は壊れやすい。
    壊れちゃった…
    ■「ツボカビ、怖いよぉ、怖いよぉ…」
しかし、ツボカビはカエルの存在を根本から壊す。
今回は何度も何度も繰り返す事になるが、正しい知識を持って対処して欲しいと願うばかり。
できるだけ、多くの人に、この問題を教えてあげて欲しいと思う。

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