『電子メール』とあえて書きますが、スマートフォンでメッセージをやり取りするご時世なので、プロバイダメールを使う人も少ないでしょう。
前世代的間隔では、あれらは「ショートメッセージ」ですが、ショートでもなく普通にコミュニケーションツールとして便利です。
一方、企業活動に目を向けると、名刺と電子メールはセットのようなもの。
基本的に、連絡手段として必要な属性の1つです。
しかし、メールサーバーの運用は、結構、難しいところ。
自前で持つか、外部サービスを利用するか、どちらも一長一短です。
自前で持つ場合、どうしても管理が必要になります。
機器類の信頼性が上がり、OSもそう簡単にコケなくなった、と言われても、24時間365日の稼働を求められる仕組みなので、それ相応の費用がかかります。
さらに近年、いや、時々刻々と進化するセキュリティに対する脅威は、その仕組や対策を理解するだけでも、かなりの速度が要求され、分かっただけでは防げません。
一方、外部サービスは法人向けの場合、かなり格安で運用できるイメージがあります。
電子メールの『普通の』機能で良ければ、1アカウント数百円です。
ただし、多くが、POP3/SMTPといった、これまた『普通の』仕様なので、どうしても、メールクライアントが必要になります。
Outlook(って今もあるの?)やThunderbirdといったメールクライアントの運用は、セキュリティ不安もありますが、それ以上に、消失のリスクも高いです。
また、パソコンを買い替えた際、「前のメールも見たい」という要望に対し、ギガバイト単位のメールフォルダをコピーして移す必要も生じます。
もちろん、ブラウザメールに対応しているものが大半ですが、意外と便利じゃないのが、この手のサービスです。
という事で、注目すべきはクラウドメールです。
この分野だと、GoogleのGmailやMicrosoftのOffice365の機能が有名ですが、他にも選択肢はあります。
ただし、中には、それクラウドメールか?といったものも混じっているので、検討は慎重に行う必要があります。
Googleの場合、法人利用するなら『GSuite』を選ぶことになります。
7GBの無料版に比べて、最低でも30GBの容量からラインナップされており、独自ドメインでの運用も簡単です。
管理者用の管理コンソールも充実していますので、管理面も不安ではありません。
何より便利なのは、日々進化するスパムフィルターです。
スパムメールやウイルスメールを独自に判断して『迷惑メール』に自動的に振り分けてくれ、一定期間後に自動的に消去されます。
一定期間の猶予があるのは、誤認識に対する保険みたいなものです。
最初は、必要なメールも迷惑メール扱いされることがありますので、ある程度、定期的に『迷惑メール』フォルダを覗きに行き、誤認識しているものがあれば、そこから救い出す必要があります。
概ね1ヶ月もすれば、精度はかなり向上しますので、以後はあまり気にする必要はありません。
これだけでも、管理面における精神衛生上の緊張感が緩和されます。
もちろん、一番の脅威は、Googleに全部を預けちゃっている、というところになりますが、それは世界規模の話なので、今更、って感じでしょう。
世界規模なので、トラブルが起きても「Googleでトラブルが」で通じます。
いや、言い訳にならないかも知れませんが、名も知れぬメールサービスや、予算ギリギリで運用している社内サーバーと、どちらが壊れやすいか、って話なので、設備投資の規模だけを考慮しても、『長いものに巻かれる』のが正解です。
大規模なトラブルが起きた時も、対応状況は一般的なニュースとして流れますので、問い合わせも少なくて済みます。
以前、それまで利用していた法人向けメールサービス(POP3/SMTPで容量20MBの当時は一般的なもの)の提供が終わると連絡を受けた際、思い切ってGmailに切り替えましたが、長い目で見れば、この切り替えは大正解でした。
ただし、お値段は上がります。
最低限でも1アカウント680円からです。
いやいや、普通のPOP3/SMTPメールで良いから安く済ませたい、って場合は、WebARENAあたりを選ぶのが妥当でしょう。
そちらなら、1アカウントいくら、ではなく、100アカウントでいくら、という商売です。