雑音とホワイトノイズ
2021年09月02日(木)
●飯塚幸三被告(90)に、禁錮5年の実刑判決。このようなケースだと上限は7年らしいが、年齢を考えれば、それでも十分長いだろうか。何にせよ、一貫して踏み間違いを認めなかった被告に対し、裁判所が「それはないわ」と判断を下したことになる。今更ながら事故を振り返れば、母子とも轢き殺された被害者遺族の方のイメージが強いので、横断歩道で2人が亡くなったように理解しているが、実際は150メートルに渡って暴走し、その2人を含めた11人の死傷者を出している事故。そこらのコンビニやドラッグストアに突っ込むようなボケ老人の事故としては、酷い部類と言えよう。この事故で『上級国民』なる単語が浸透したイメージがあるが、上級国民は「いや、クルマが壊れてた」と上告するだろうか。●ただ、この上級国民という言葉、他のひき逃げ事件と比べて特別扱いされている感があるため、余計にネット炎上の『燃料』として使われて、あちらこちらで曖昧な情報や推測を元にギャアギャアと騒ぐ声が聞こえてきた。こういう事態を見て、著名人の中には「こういうネットの暴論が放置されている状況は如何なものか」と声を上げる人もあり、その気持ちは分からなくもない。ただ、それ自体が罪になるわけでもないようなもので、無名の一般人が『意見』を述べる道具としてネットがあるのなら、別段、声を上げるのは問題ない行為だろう。仮にそれが過剰であっても、嘘でなければ問題はない。一方で、上がった声を『世論』や『意見』として受け取るかどうかは、為政者が判断することであり、あえて反応する義務はないことは理解すべきだろう。こういう構図が理解できていれば、特に困ることはない筈だが、これまで著名人として、その名前や肩書きが権威として使えてきた人々にとっては困ること、いや、驚異でもあるわけで、「有名なボクが言ったこと」なんて話も、よっぽどの有名人でなければ、そこらの素人動画配信者以下の重みしかない。●こういう事態を受け、責任所在を明らかにするために、マイナンバーなどを使い、ネット上の個々人を特定できる仕組みを導入すれば、もう少し、炎上目的のクズ意見は排除されるだろうが、そうしてしまうと、ネット上の発言1つ1つを意見として取り入れなければならなくなる。むしろ、必要なときには世論、不要なときには雑音扱いした方が便利なので、当面はこのままだろう。★☆★